HSR九州で毎年9月に開催される『鉄馬』というレースがあります。鉄フレーム+4サイクル4気筒の国産車だけで行われるレースです。店主は2015年のイベント立ち上げから広報担当として携わっていますが、今回は何故このレースを始めたのかについて書いてみます。
日本の2輪ロードレースが最も盛り上がっていたのは、恐らく1980年代後半~1990年位ではないかと思われます。その後は多少の増減はありつつも、エントラントは減り続けています。時代によってシングルレースが盛り上がったり、外車のワンメイクレースが流行したりしましたが、現在は全日本ロードレース等プロに近い形のレースはともかく、サンデーレースにおいては(エントリー台数が少ないため)カテゴリー別のレース開催が難しいので、九州では多くの車種混走のタイム分けレースが主流となっています。
店主は1996年から4シーズンWSBで世界中を転戦していましたが、欧米のいくつかの国では併催イベントで旧車レースが開催されていました。オールドハーレーだったりノートンやトライアンフといった旧い英国車だったり、車種は様々でしたが、60を過ぎたようなベテランライダーが、パドックのテントで楽しそうに愛車をメンテする姿をよく目にしたものです。まさにオートバイレースの根源的な姿を見るようでした。
九州の地で『鉄馬』を開催するようになったのは、何歳になっても愛車と共に参加できる、海外で見たあんなレースをやってみたかったからです。タイムで区切られたレースではなく、同じカテゴリーだけで競い合うそんなレースをやってみたかった。
レースはお金が掛かります。コストが掛かることが近年のエントラント減少の一因であることは間違いありません。ですが『鉄馬』や筑波サーキットで開催される日本最大のイベントレース『テイストオブ筑波』のエントラントを見ると、現行車のレースに負けないぐらいお金の掛かった車両が多いことに驚かされます。面白いレース、カッコいいレースならば、コストが掛かることがエントリーしないことの理由にはならないのかもしれません。
今年『鉄馬』は6年目を迎えます。おかげさまで北は東北、南は沖縄からもエントリーしていただけるイベントになりました。中には町乗り兼用という方も多く見られます。自分のお気に入りの車両を思い思いにカスタムして楽しむ、決して順位やタイムだけが目標ではないレース。これからもそんなイベントを目指して10年、15年と続けていければと思います。その頃には円環服を着て老眼鏡かけた爺様がパドックにいっぱいかもしれませんが、それもまた良しとしましょう(笑