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AIR-BOOSTを着てみる

『まもなく発売します詐欺』と言ってもいいくらい、予告があってから数年が経過していたHyodのエアバッグシステム『AIR-BOOST』が遂に発売になりました。ネットでもいろんなところで取り上げられていますのでご存じの方も多いと思いますが、実際使い勝手はどうなの?という疑問にお答えするべく、店主自ら着用して使用感をレポートしてみたいと思います。

AIR-BOOSTはベストタイプのエアバッグシステムで、ストリート用ジャケットやレーシングスーツの下に着用します。GPSと加速度センサーで作動させるため、バイクとエアバッグをロープでつなぐ必要はありません。同様の製品の中では比較的コンパクトな造りで、ガスタンクやコントロールユニットを収納する背中部分もそれほど張り出さないので、ジャケット着用後も気になるほどマッチョマンにはならないと思います。

紐式エアバッグの長所は何と言って価格が安いことです。5万円前後で購入出来て車体にロープを取り付けられればどんな車種でも使用できます。欠点は車体と人間が離れないと作動しないということ。例えばフロントからのスリップダウンのようなケースでは、転倒した後人間とバイクが離れるまで作動しない可能性があります。

AIR-BOOSTはmotoGPにもシステムを供給しているIn&Motion社の技術を使っており、GPSと加速度センサーを使用することでライダーが通常の動作ではない動き(転倒等)をした場合に、センサーが0.03秒で転倒リスクを検知し、0.025秒で作動します。動作解析は数多くの作動例から日々アップデートされており、スマホの専用アプリを使って最新のものに書き換えられます。欠点は高価であること。本体価格¥54,890(税込)の他に、システム使用料が発生するため(買取、リースなど数パターンあり)総額ではかなり高価になってしまいますえます。それでも同様のシステムを使った他社製品よりは安いのですが。
詳しくはHyodの特設サイトをご覧ください。

そして何といっても(AIR-BOOSTに限らず)2輪用エアバッグシステムの最大の欠点が通気性が悪い(暑い)ということです。ガスによって膨らむ風船が体の前後面に入ってるわけですから、そこは風を通しません。AIR-BOOSTの場合、前面の中央と脇はメッシュになっているほか、風船部分や背中のパッド部分にも少しでも風を通すように穴があけられています。今回は猛暑襲来中の九州で実際に着て走って、どれくらい快適なのか(我慢できるのか)検証してきました。

まずは3シーズン用マウンテンパーカータイプ。もうぜんぜん無理。基本風を通さないので真夏に着るもんじゃありません。ということで次は現在のHyod夏用ジャケットで最高の快適性を誇るUCHIMIZUシリーズです。今年から前面には小さな穴をあけることで気化熱効果に加えて直接風を取り込むことでさらなる機能性UP!これに期待してみました。

結果これなら十分夏でもエアバッグが着用できます。阿蘇高原の気温のせいでもありますが、交通量が少なく連続して飛ばせることろではやや肌寒く感じるほどでした。

さすがに止まると暑いので、休憩中はUCHIMIZUもAIR-BOOSTもバイクの上で天日干し。ソフトクリームと十割そばを堪能して、満足の1日でした。
で、調子に乗って今日街中の用事を済ますのにエアバッグ着用で繰り出しましたが、案の定死にそうでした。真夏に渋滞路をバイクで走るもんじゃありません。エアバッグがあっても暑さで死にます。